- 最終更新日:2023/10/12
待ったなしの物流・運送業界の「2024年問題」。ドローンは救世主となれるか?
運び方知恵袋の一覧へ戻る2024年問題。主に働き方改革関連法により2024年4月1日から「自動車運転の業務」の時間外労働が年960時間と上限規制されます。
それに伴い、ドライバーの方の労働時間が減り、モノの運べる量が減ります。
結果として、トラック運送業界の売上減少やトラックドライバーの方の収入減少、荷主企業の運賃上昇などの問題が発生するというものです。
その一つの解決策として、ドローンが一役買うのではないかと考えられています。
ドローンの自動操縦を使うことで無人の状態で商品が配送されるため、簡単に自宅付近で商品の受け取りが可能です。また、「ドローン配送」が普及すると、トラック配送と比べて商品の受け取り方の幅が広がります。
今回は「物流・運送業界の2024年問題の解決策としてのドローンが有望なのか?」「日本のドローン配送の現状」や「ドローン配送で解決される問題や課題」までを紹介します。
目次
ドローン配送とは
ドローン配送とは、無人航空機のドローンに商品を乗せて宅配するサービスのことです。
従来の配送サービスは、購入された商品を自宅付近までトラックなどに乗せて運び、配達員が玄関先まで届けるのが普通でした。
しかし、ドローン配送の場合は、小型かつ無人のドローンが自宅付近まで商品を届けてくれます。
サービス業者が設定したドローンの飛行ルートを自動で移動して商品を届けるため、配達員が商品を運ぶことはしません。
そのため、ドローン配送が普及すると、物流業界の深刻な人手不足の問題も解消可能となる可能性があります。
物流業界では、人手不足が原因で既存のドライバーが抱える業務負担が増加する問題がありました。そのうえ、「2024年問題」でさらに追い打ちをかけられているかに見えますが、ドローン配送が実装されることで、自動かつ無人で商品などを配送できるため、人手不足が解消できるのではないか。
空を飛ぶ小型の無人航空機ドローンの登場により、物流業界でそんな期待が高まっています。
日本のドローン配送の現状は?
ドローン配送は、海外で実用化に進んでいる国は有りますが、日本でも実用化へ向けた動きがあります。
例えば、2022年にドローンに関する規制が以下のような改正が行われました。
- 操縦者に国家資格が設けられた
- 機体重量100g以上のドローンが規制対象になった
- 機体を国土交通省に登録する「無人航空機登録制度」が義務化された
さらに2022年12月になると、航空法改正によって国内ドローンの「レベル4飛行」が解禁されました。
レベル4飛行の解禁に伴い、現在は有人地帯での目視外でドローンを自動・自律飛行が可能です。
また一部地域を除いた住宅地や都市部のエリアなどでも、目視外のドローンの自動・自律飛行ができます。
ドローンが「2024年問題」の解消に一役買えるよう着々と法整備されているのではないでしょうか?
ドローン配送で様々な解決される問題
ドローン配送で解決される問題には、ほかにもあります。
- 交通渋滞が緩和される
- コスト削減につながる
- 配達効率が向上する
- 災害時でも活躍できる
ドローン配送が普及することで解消できる問題を、詳しく解説します。
交通渋滞が緩和される
ドローン配送の運用が一般化した場合、交通渋滞が緩和されやすくなります。
従来の配達方法と比較するとドローンは上空を移動するため、トラックによる配送が減少する可能性が高いです。
特に主要都市や高速道路を走行するトラック配送が減ることで、渋滞の発生も減少する可能性が高くなります。
ドローン配送であれば空中を行き交うため、交通状況に関わらず配送が可能です。
コスト削減につながる
従来のトラック配送からドローン配送になることで、コスト削減にもつながります。
配送トラックの維持費やドライバーの人件費には、高いコストがかかります。
従来の運搬方法と比較すると、ドローン配送は低コストで配達できる可能性が高いです。
配達効率が向上する
ドローンは上空を飛行して商品を運ぶため、配達効率が向上します。
トラック配送の場合は、道路や建物、渋滞などの影響を受けやすいケースが多いです。
しかしドローン配送の場合、ドローンが上空を飛ぶため配達先まで最短距離で商品をお届けできます。
今までにないルートで配送できるため、山や離島など、トラックなどが侵入しにくい過疎地域でも制限なしで配送できます。
空から設定したルートで指定の配達ポイントまで配達するドローンは、渋滞に巻き込まれることなく最短で配送可能です。
ドローンの課題
メリットも多いですが、課題も少なくありません。
- ドローンの安全性
- 操縦者の確保
- ドローンの騒音
- ドローンの保安性
ドローンの安全性
急な突風や鳥の衝突などによる墜落が懸念されます。
特に、大きな荷物を積んだドローンが墜落した場合、その被害は小さくないはずです。
操縦者の確保
現状では、業務で利用するようなドローンの操縦者の数がまだまだ少ないようです。(有人地帯での自動飛行はレベル4にあたるため、国家資格である一等無人航空機操縦士が必要となるようです。)
人材確保や育成に時間とコストがかかりそうです。
確かに、小さいドローンを操縦したことがありますが天井と壁、地面への衝突を繰り返し数十分で大破させたことがあります。業務用は大型で安定しているとはいえ数時間に及ぶ操縦するには正確な操縦技法をもった操縦者がそれなりの人数が必要そうです。
ドローンの騒音
大型のドローンで大きな荷物を積載していると騒音もそれなりにします。
音に敏感な方もいるため、一定数のクレームが発生する恐れがあります。
ドローンの保安性
同じコースを同じ時間飛行しているとドローンを破壊して荷物をとろうとする人が出てくるかもしれません。
まとめ:物流業界の救世主となるのはドローンなのか?
ドローンはもともと「オスの蜂」の意味があります。ドローンの複数の羽の音が蜂の羽音に似ているからという話がありますが、どうやらイギリスの無人機の名前が「Queen Bee(女王蜂)」だったことに敬意を表してアメリカで「ドローン(オス蜂)」と名付けたらしいです。
人手不足、後継者不足に2024年問題と「泣きっ面に『蜂』」状態の物流業界の救世主となるのも、『蜂』(ドローン)となるのか?
ドローンのメリットも大きいですが、課題も少なくありません。これをいかに解決していくのか?が今後の焦点であり、騒音や安全面を解決する「テクノロジー」と円滑に運営できる「法律」、そして、物流業者の「創意工夫」がポイントになると思います。
参照:
2024年問題の解消へ 期待高まる「物流ドローン」勉強会 県内での稼働に向け12月にテスト飛行【愛媛】 南海放送
未来の先取り!?ドローン物流(配達)の実用化までの期間と課題とは 株式会社ACSL