- 最終更新日:2023/12/07
運送業者のための「インボイス制度」講座~基本編
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インボイス制度って何?
正式には、「適格請求書等保存方式」といいます。
平たく言うと、「『商品やサービスを買った人・企業』が、『仕入税額控除の適用』をしたい場合、『インボイス』っていう書類を取得・保存が必要になる」という制度です。
ということは、「仕入税額控除」と「インボイス」が分かれば、理解できるということになります。
「仕入税額控除の適用」って何?
“消費税の仕入税額控除とは、課税事業者が納税すべき消費税を計算する際に、売上にかかる消費税から仕入れにかかった消費税を差し引いて計算することによって、消費税の二重課税を解消することができる制度です。”[Ref. 1]
例) スーパーが、パン屋から108円(消費税8円)で仕入れたパンを216円(消費税16円))で売った場合、仕入れにかかった消費税(8円)を差し引いた8円(16円-8円)を控除(消費税の仕入れ税控除)して納付する。控除しなければ、まるまる16円納付することになります。
これまでは仕入れの事実が記載された請求書と帳簿を保存すれば、仕入税額控除の適用を受けることができましたが、インボイス制度が開始すると、「インボイス」がないと仕入税額控除の適用を受けることができなくなるというわけです。
「インボイス」って何?
「インボイス」とは、適格請求書のことです。”適格請求書は、「売手(売った側)が買手(買った側)に対して、正確な適用税率や消費税額等を伝えるもの」で、現在使われている「区分記載請求書」に「登録番号」、「適用税率」及び「消費税額等」などの記載が追加された書類やデータをいいます。”[Ref.2]
要は、いままで使われている請求書に項目を追加したものが、「インボイス」のイメージになります。
例の話を使ってまとめると、「スーパーが仕入税額控除する場合、パン屋から決まったフォーマットの『インボイス』をもらえばいい」となります。スーパー(買い手)は楽そうですが、パン屋(売り手)は、どうすればいいのでしょうか?
売り手は「インボイス」を交付するのかしないのかを判断
売り手は、「インボイス」を交付するのかしないのかを判断する必要があります。交付しないと判断した場合、「仕入税額控除」を望む買い手とは取引ができないということになります。また、免税事業者の場合、課税事業者にならなければ適格請求書を発行できないので、インボイス制度の始まりに備え、課税事業者になるかを検討する必要があります。
例の話を出すと、インボイスを交付しないと判断したパン屋は「仕入税額控除」を望むスーパーと取引できないかもしれません。
交付すると判断した場合、「適格請求書発行事業者」の「登録申請書」を所轄の税務署もしくはe-Taxに提出し、審査・登録を受ける必要があります。
2023年3月末時点での登録者数は、2,684,203件で、登録申請書を提出されてから登録通知までの期間でいうと、書面提出だと約2か月、e-Taxだと約3週間かかるようです。[Ref.3]もし、「インボイス」を交付したい場合、早めにe-Taxでの登録をおススメします。
インボイス制度は、いつから?
インボイス制度は2023年10月1日より導入されます。
運送業者への影響は?
上記に書いた通り、簡単にまとめると以下の通りとなります。
●サービスなどを買う場合
・(制度開始後)仕入税額控除を適用する場合、インボイスを売り手から取得・保存が必要になる。
●サービスなどを提供する場合で、「インボイス」を交付する場合
・「適格請求書発行事業者」の「登録申請書」を所轄の税務署もしくはe-Taxに提出し、審査・登録を受ける必要がある。
・(制度開始後)買い手にインボイスを提供する必要がある。また、交付したインボイスの写しを保存しておく必要がある。
●サービスなどを提供する場合で、「インボイス」を交付しない場合
・特に変更はなし。ただし、「インボイス」を求める買い手との取引がなくなる可能性があります。
注意とまとめ
今回はインボイス制度の概要に関して説明しました。あくまでも概要ですので、参考文献などをみて詳細を確認してください。また、詳しい士業の方(弁護士や税理士など)に確認するといいかと思います。
経過措置や支援措置などもあるので、それらを理解して、ゆとりをもって申請や体制の見直しをされることをおススメします。
【参考文献】
freee 消費税の仕入税額控除とは?基礎知識とインボイス制度での変更点をわかりやすく解説
国税庁 インボイス制度の概要