- 最終更新日:2021/12/09
通販やフリマアプリでの商品発送後のキャンセル・返品について
運び方知恵袋の一覧へ戻るここ数年で通販やフリマアプリ、オークションサイトなどが増え、商品の実物を見ずに買い物することが増えましたね。
現在、販売者と購入者の双方の間で発生している問題が「注文後のキャンセル」や「商品発送後のキャンセル」です。販売者の立場から言えば
- 購入者からの一方的なキャンセルなのに、商品の送料は誰持ちになるのか
- 無理に送っても、受け取り拒否されて、料金は振り込まれないから、キャンセルを受けるしかない
- センターまで商品を受け取りにいかなきゃいけない
- 送り状を貼り付けたから、梱包からやり直さなくてはいけない
購入者の立場から言えば
- 注文したけど、もっと安い物を見つけたので、キャンセルしたい
- 注文したけど、必要なくなった
- 注文したけど、既に持っていたので、2つも必要ない
特に10円、20円でも安い物を買いたい購入者は、毎分更新される出品リストを見て、すぐに注文した商品をキャンセルして、別の出品者に乗り換えるので、キャンセルがたくさん発生しがちです。
購入者はキャンセルの申し入れをするだけですが、それでは出品者側の対応としては実際どうなっているのでしょうか?目次
キャンセル依頼を受けた出品者の対応
商品発送後に販売者がキャンセル依頼を受けた場合、以下の対応となります。
- 購入者とキャンセル交渉
- フリマアプリやオークションサイトの場合、運営事務局への連絡
- 配送業者に商品発送停止の連絡
- 商品を集荷センターまで受け取りに行く
- 発送ラベルをはがして、次の出品のためにラッピングし直す
購入者と比べ、出品者は大変な労力を強いられます。
出品時に「発送後のキャンセル不可」などの記載があれば、双方の同意の下でなければ、キャンセルできない
通信販売やフリマアプリなど、ネット通販系は『特定商取引』という物に分類され、これらの取引は『特定商取引に関する法律(特商法)』が定められています。
その特商法の中にこのような文面がありました。(通信販売における契約の解除等)
第十五条の三 通信販売をする場合の商品又は特定権利の販売条件について広告をした販売業者が当該商品若しくは当該特定権利の売買契約の申込みを受けた場合におけるその申込みをした者又は売買契約を締結した場合におけるその購入者(次項において単に「購入者」という。)は、その売買契約に係る商品の引渡し又は特定権利の移転を受けた日から起算して八日を経過するまでの間は、その売買契約の申込みの撤回又はその売買契約の解除(以下この条において「申込みの撤回等」という。)を行うことができる。ただし、当該販売業者が申込みの撤回等についての特約を当該広告に表示していた場合(当該売買契約が電子消費者契約に関する民法の特例に関する法律(平成十三年法律第九十五号)第二条第一項に規定する電子消費者契約に該当する場合その他主務省令で定める場合にあつては、当該広告に表示し、かつ、広告に表示する方法以外の方法であつて主務省令で定める方法により表示していた場合)には、この限りでない。
2 申込みの撤回等があつた場合において、その売買契約に係る商品の引渡し又は特定権利の移転が既にされているときは、その引取り又は返還に要する費用は、購入者の負担とする。そもそも、この条文自体が購入者による一方的なキャンセルでのトラブルが相次いだことから、平成20年の改正で追加された物だそうです。
この条文では、通信販売は、同じ特商法で定められている訪問販売のように販売者に迫られて購入に至るのではなく、自身で吟味した上で購入に至ることから、キャンセルは可能だけど、売買契約時に別途返品に関する定めが記載されていれば、購入者はそれに従いなさいよということが記載されています。購入者の方は、注文前にしっかりと記載文を読んだ上で注文しましょう。
法律に則った販売者とトラブルになっても、消費者センターでは対応してもらえません。また、販売店によっては後払い決済の契約がある場合、料金を支払わなかった場合、支払い方法を後払いに変更される可能性があります。
購入者は後払いに切り替えられると、非常に厄介です。
まず、後払いになるとクレジットカードのように、後払い業者から先に代金が販売者に支払われ、債権が販売者から後払い業者に切り替わります。
ここで、フリマアプリなどであれば個人間の支払いトラブルだったのが、急に『対企業』になります。そして、後払い業者は債権回収のプロですから、ほぼ勝てないと思います。
また、後払い業者は独自に”ブラックリスト“を持っており、後払い業者とトラブルになると、次回以降後払い業者と契約のある他店でも商品の購入自体が出来なくなる恐れがあります。購入者が商品の受取拒否した場合
“キャンセルの申し入れをしている間に、商品が届いてしまった!ここで商品を受け取ると返送料金が自分持ちになる!”
“どっちみちキャンセルが成立すれば、販売者の所に商品を返すんだから、このまま受け取り拒否しておけば良い”
このように思われる方は多いことでしょう。受取拒否時の送料・料金負担
受け取り拒否すると、原則送料は販売者負担となります。
さらに送る分だけでなく、返送料金も含めて請求となります。
受け取りを拒否するということは、お店側に無駄な送料を負担させるということなので、その点しっかりと理解してください。
お店も単純に赤字を出すわけにはいかないので、受け取り拒否したことによって、その後のキャンセルが難しくなる場合もあります。受取拒否すれば、キャンセルしたことになる?
“商品が手元に届いてないんだから、注文はキャンセルでしょ”って思うかもしれませんが、商品がどちらにあるかと売買契約は別の話で、商品の受取を拒否しても、キャンセルしたことにはなりません。
商品を受け取らなかったとしても、商品代金の支払い義務は残っています。店舗によっては、受け取り拒否への対応もホームページ上に記載されており、『商品代金ならびに往復料金、手数料、梱包資材代を合わせて請求させていただきます。』などの記載がされている場合もあります。
このような対応を取らざるを得ないということは、購入者にとって気軽に押せる”キャンセルボタン”は、販売店にとってそれほどまでに大きな損害となるということです。このようなトラブルを起こさないために、ネットショップには必ず“特定商取引法に関する記載”が設けられています。
この記載をしっかり読んで、もしもの時、キャンセルは可能か、返品は可能か、その条件はどういう時に可能か、返品時の送料は誰が負担するのか、等、自身に不利な売買契約が記載されていないか確認するようにしましょう。