- 最終更新日:2022/04/02
運送業にもEV化(電動化)の流れ
運び方知恵袋の一覧へ戻る車を運転していると、すれ違う車の半分以上がハイブリッド車や電気車に置き換わったような気がしています。
実際、ガソリン価格の高騰に後押しされる形で、国内販売車両のハイブリッド化・EV化はどんどん進んでいます。そんな中、あまり変化がないように思える『トラック』
それもそのはず、トラックは基本的に高トルク・高耐久のディーゼルエンジンを搭載しているため、普通に10万km以上走れる耐久性があります。
そのため、古いトラックがまだまだ現役で働いているため、新型のトラックを見る機会は多くありません。しかし、トラックへのEV化の波は確実に来ており、トラックのEV化も検討されています。
目次
ガソリン価格と運送会社のコストは密接に関係している
運送会社、特にトラックや軽貨物運送はサービスの提供にガソリンが欠かせません。
しかし、ガソリン価格は年々高騰しています。2022年3月現在軽油価格は137円まで上昇しています。
1か月に10万リットルの軽油を消費したら、燃料代だけで1370万円にもなってしまいます。そこで、燃料代を削減し、環境問題も解決するために、トラックのEV化・ハイブリッド化が検討されています。
電気トラック(EVトラック)って売ってるの?
実は電気トラックは既に各社から販売されています。
三菱ふそう eCanter
メーカー 三菱ふそうトラック・バス株式会社 車種 eCanter バッテリー 370V/13.5kWh*6個 航続距離 約100km 急速充電 対応 3tクラスのCanterのEV版です。
日野 デュトロ Z EV
メーカー 日野自動車株式会社 車種 デュトロ Z EV バッテリー 40kWh 航続距離 約100km 急速充電 対応 「ヒノノニトン」のフレーズでおなじみの2tクラスのトラックのEV版です。
HWE ELEMO
メーカー HW ELECTRO 株式会社 車種 ELEMO バッテリー – 航続距離 約200km 急速充電 未対応 上記2車種と比較すると、かなり小型のEVトラックです。
EV(電気自動車)とトラックって相性がいいの?
元々、ディーゼルエンジンは低回転から大トルクを発揮させ、重量物を引っ張る牽引能力の高いパワートレインでした。
実は電気自動車のモーターもディーゼルエンジンに近い出力性質を持っており、回転数が低い時に最も高いトルクを発揮し、回転数が高くなるほどトルクが下がっていく性質を持っています。さらに、電気自動車の場合、ブレーキ時に回生ブレーキを活用することで、一度運動エネルギーとなった電力を回収することが出来ます。
ディーゼルエンジンの排気ブレーキでは軽油が戻ってくることはないので、燃費がコストに直結する物流業では、消費した電力を回収できるというのは非常に大きなメリットです。そのため、電気自動車とトラックは相性が良いと言えます。
トラックのEV化(電動化)に残された課題
車両価格が高い
駆動用のリチウムイオンバッテリーが非常に高価なため、EVトラックの車両価格が高額になってしまいます。
EV(電気自動車)では『車両価格の約4割はバッテリー』と言われています。リチウムイオンバッテリーにはリチウムの他にもニッケルやコバルトなどが使われていますが、実は『コバルトは残り20~30年程度で枯渇してしまう』と言われています。
ガソリン車の燃料となる『石油』よりも、先に電気自動車のバッテリーの材料となる『コバルト』が枯渇してしまう可能性があるのです。そのため、電気自動車が普及すれば生産量が増えて、バッテリー価格が下がると思われていますが、作れば作るほどコバルトの争奪戦になり、材料価格が上昇することが考えられます。
エンジンと比べて、駆動用バッテリーの寿命が短い
電気自動車にはエンジンがない分、モーターと駆動用バッテリーが搭載されています。
車に乗っている人ならわかると思いますが、エンジンが壊れることはあまりないですが、バッテリーは頻繁に交換しますよね?
電気自動車の駆動用バッテリーも寿命こそ長くなっていますが、ディーゼルエンジンの寿命と比較すると短い傾向があります。また、前述したように、駆動用バッテリーは価格が高い傾向があります。
そのため、燃料代を削減出来ても、車両自体の価格が高かったり、バッテリー交換費用が高かったりと、トータルコストで見ると、まだまだ課題が残ります。航続距離が短い
また、現在のバッテリー技術では充電量に限界があるため、航続距離が短い問題もあります。
そのため、長距離トラックにはあまり向きません。バッテリーを多く積めば、その分航続距離も増えますが、当然車両価格も上がりますし車両自体の重量も増えます。
増えた重量に対して、モーターがパワーを得ようとさらに電力を消費してしまうため、バッテリーを2倍にしても航続距離が2倍に増えるわけではないんです。各運送業者が実験的にEVトラックを導入開始
EVトラックの実証実験は各社取り組み初めており、
ヤマト運輸では2020年から小型EVを導入
ヤマト運輸が導入したEVトラックは市販車ではなく、ドイツのストリートスクーター社とヤマト運輸の共同開発の車両です。
ヤマト運輸といえば、大きな箱型のウォークスルーバンのイメージですが、あの車両もトヨタ自動車とヤマト運輸の共同開発車両でした。試験的に首都圏に500台導入されているそうです。
ヤマト運輸 – 日本初、宅配に特化した小型商用EVトラックを導入
佐川急便では2022年からEV導入予定
佐川急便に導入されるEV車両はASF株式会社と共同開発した物だそうで、こちらも市販車ではありません。
導入は2022年9月頃を予定しており、首都圏や都市圏を中心に導入されていく予定です。
西濃運輸でも2022年4月からeCanterを導入
西濃運輸でも4月から三菱ふそうのEVトラック『eCanter』が2台導入される予定となっています。