余ったスペースの有効活用や無駄を省く取り組みで、物流に「貨客混載」というものがあります。
一般的に、人を乗せる車や電車は『人と手荷物だけ』、貨物を乗せる車や電車は『貨物だけ』ですが、コロナ禍で人流が大幅に減少したことを機に、急速に「貨客混載」への取り組みが進んでいます。

貨客混載とは

輸送車両に【貨物】と【旅客】を一緒に載せて運ぶことです。
輸送業には『貨物輸送』と『旅客輸送』の2種類があり、【貨物】はきっちり詰めて大量輸送し、倉庫に届ける必要があり、【旅客】は快適性を求め、それぞれの目的地に届ける必要があるため、効率化を目的として、貨物は貨物のみで輸送し、旅客は旅客のみで輸送する貨客分離が行われていました。

しかし、日本では人口の減少により、旅客の空席増加やドライバー不足、環境問題や都市部での交通渋滞問題から、貨客混載へのシフトが進んでいます。

旅客列車の荷物輸送への利用

JR東日本は2021年10月に新幹線などの旅客列車を荷物輸送に利用するサービス『はこビュン』を本格展開すると発表しました。
コロナ禍で旅客利用が減少していることも相まって、新幹線の空いたスペースを『人』ではなく『荷物』を積んで、人と物を一緒に運ぼうという取り組みです。

『はこビュン』は東京駅～金沢駅や東京駅～新函館北斗駅間などで運行され、主に生鮮食品の輸送や医療関係、機械や電子部品の輸送に利用することが予定されています。

はこビュンの取り扱い駅

※ 発車時刻の30分前までに受付を済ませておく必要があります。

はこビュンの料金表

はこビュンの時刻表

※利用条件があるため、ご利用の2日前までにお問い合わせが必要

JR九州からは『はやっ便』というサービスも出ています。
こちらのサービスは九州新幹線を使用し、博多～鹿児島中央間で荷物を新幹線に載せて輸送するサービスです。
最短2時間40分で荷物が届きます。

はやっ便の料金表

※はやっ便は着払いを利用できません。発払いのみです。

はやっ便の輸送時刻

九州新幹線を利用するため、荷物の出発時刻と到着時刻が決まっています。

タクシ－で食品などの宅配を可能に

タクシーで旅客業を営むには、地方運輸局長に『一般乗用旅客自動車運送事業』の許可を得る必要があります。
宅配を行う場合には『一般貨物自動車運送事業』の許可が必要になりますが、これはトラック運送を前提としていますので、トラックを5台以上確保していることなどの条件があり、タクシーの乗客が居ないからといって、そのままタクシーで宅配を始めることは難しいです。
しかし、今回新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、国土交通省は2021年4月21日から2021年5月13日まで、国土交通省の許可を受ければ宅配を行うことができるという特例措置を発表しました。